アルミダイカストにおける反り・歪みの原因
今回はアルミダイカストの「歪み」についてご紹介いたします。
歪みは製品品質に大きな影響を与える重要な要素です。
その発生メカニズムを知ることで、設計段階で注意すべき仕様や、未然に防ぐべき不具合の
ポイントが明確になります。
これからダイカスト製品の発注をご検討されているお客様に向けて、ぜひ知っていただきたいテーマです。
歪みの種類
反り、曲げ
平面や長尺の鋳造品が湾曲しており、置いた際に端が浮いたり中心が浮く状態を指します。
ねじれ
製品にねじれ変形が起こる状態を指します。仮に製品が四つ角のあるケースのような形状ならば
四隅のうち、対角が交互に浮いている状態です。
このような欠陥は他の部品とASSYした際に不具合を与え、エンジン部品であれば異音や摩耗など
を引き起こします。
また、弊社が量産しているPASSAGE COMP,WATERといった水路系の製品であれば水漏れといった
重大な不良に繋がります。
PASSAGE COMP,WATER

歪みが引き起こされる原因
冷却における原因
歪みが引き起こされる主な原因は冷却の不均一になります。
アルミダイカストにおける冷却工程は溶湯が金型へ射出された直後から製品が金型の中で
凝固するまで行われます。
その際に冷却が不均一だと先に固まった表面が、あとから縮む中身に引っ張られ製品の
変形の原因となります。
このように外から力をかけていないものの金属の内部に残る応力のことを残留応力と言います。
製品形状、設計由来の原因
製品形状や設計の段階で変形が起点になりやすいものもあります。
一般に厚肉部と薄肉部が混在している形状では冷却の不均一が生まれやすく、残留応力が
発生しやすいと言われています。
金型設計由来の原因
アルミダイカストの金型には冷却を行う為、冷却水を供給するとともに循環を行う
回路が備えられています。
金型の冷却能力の不足は溶湯の熱が抜けにくく、周囲より高温になる箇所(ホットスポット)を
生み出します。
こういった金型内の温度ムラが鋳造品の歪みを引き起こしてしまいます。
離型の際に起こる原因
金型から製品を取り出す際に鋳造品が金型に密着し残ろうとする力(離型抵抗)が働きます。
ダイカストにおける鋳造品の取り出しではこの離型抵抗により瞬間的な変形が起きてしまう
リスクがあります。
歪みを低減するための対策
金型内の冷却回路を見直す
ホットスポットの位置を考慮し、適切に設計された冷却水路を使用することで金型全体の熱を
均一に除去し温度ムラを小さくすることができます。
鋳造条件を見直す
溶湯の温度や金型の温度を適正に整えることで、熱収縮の差や離型時の負荷に起因した
歪みなどの変形のリスクを下げることができます。
設計段階での見直し
厚肉と薄肉の混在を減らしできるだけ均一の肉厚での形状に変更することで、
冷却の不均一が生まれづらく、残留応力の発生を抑えることができます。
最後に
今回ご紹介の内容はダイカストメーカーの基礎であり、ほんの一部の情報に過ぎません。
田中精密では高精度のシミュレーション技術により、様々な不具合対策を設計段階で盛りこみ
量産に繋げております。
本サイトではそのような当社技術の他、強みやダイカスト部品のコストダウン事例などを
ご紹介しています。
ぜひ日々の仕事にお役立ていただくと共に、お気軽に田中精密工業にご相談いただければと思います。